どうも、室井(@muroiwataru)です。
今回は僕が今まで読んだホラー小説の中から面白かったものを10冊厳選しました。
ホラー小説といっても恐怖の表現方法は作家によって異なります。
幽霊や化け物なのか、理不尽な死なのか、グロテスクな描写なのか。
はたまた狂っていく人間なのか。
自分の好きな作家を見つけることができれば読書が楽しくなるでしょう。
オススメ度の高いものから順に紹介していきます。
目次
屍鬼 / 小野不由美
人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体。周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躙したかのように散乱していた――。闇夜をついて越して来た謎の家族は、連続する不審死とどう関わっているのか。殺人か、未知の疫病か、それとも……。超弩級の恐怖が夜の帳を侵食し始めた。
「BOOK」データベースより
「人間」と死者が起き上がった「屍鬼」と呼ばれる存在が殺し合う物語。
屍鬼には生前の記憶も人格もあるため、家族や親友を襲うことをためらうものもいる。
人間も同様に、生前と変わらない姿をした屍鬼を殺すことに抵抗を感じるものもいる。
屍鬼になっても人間を襲うことを拒否するもの。
親友を手にかけたことを後悔しつづけるもの。
人ではないものになってしまった屍鬼の苦悩がうまく表現されています。
屍鬼よりも、集団で屍鬼を狩っていく人間たちが恐ろしいです。
知り合いだった元人間に木の杭を打ち込んで無慈悲に処理していく。
屍鬼だけではなく疑わしい人間まで殺していきます。
人間側が正義だと考えているわけですね。
しかし屍鬼が人間を殺すのは目的ではありません。
死なないための手段なんですから、襲わなければ飢えて死にます。
誰も襲わず飢えて死ぬのが正義と言われたらたまったものではないでしょう。
「若くて死のうと歳を取ってから死のうと関係ないわ。善人だろうと悪人だろうと同じよ。死は等価なの。特別に酷い死も、酷くない死もないわ。だからこそ死は恐ろしいの。」
屍鬼を読んで一番心に残ったセリフです。
死とは何かを考えさせられました。
屍鬼は文庫版で全5巻の非常に長い作品です。
登場人物も余裕で100人以上出てきます。
物語の展開が非常に遅いですが、3巻ぐらいから急激に面白くなってくるので1~2巻で投げずに最後まで読んでほしい作品。
漫画版も出ているので先にそちらを読んでおくと内容がすんなり頭に入ってくるかも。
漫画版は原作と一部ストーリーが異なります。
個人的には小説の方がキャラの心情がより伝わってくるので好きですが。
どっちも読め。そしてアニメも見ろ。
以上
玩具修理者 / 小林泰三
玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く……。現実なのか妄想なのか。生きているのか死んでいるのか――その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。
「BOOK」データベースより
小林泰三のデビュー作である「玩具修理者」と「酔歩する男」を収録した短編集。
僕がオススメしたいのは「酔歩する男」。
小林泰三の小説は20冊ぐらい読みましたが、ダントツで面白かったのがこれ。
愛する女性の死をなかったことにするためにタイムリープをするSFホラー。
この作品でのタイムリープはタイムマシンを使うのではなく、脳の時間の流れを感知する器官を破壊するという珍しい設定。
時間は過去→現在→未来と流れていくが、この流れの方向性は人の意識が観測することで決定する。
だから時間の流れを感知する器官を破壊すれば過去へと時を遡れるはずだ。
と、主人公たちは考えるのですが…
量子力学に関する知識があると更に楽しめます。
読み進めていって波動関数とかチンプンカンプンだなって感じたらググりましょう。
「シュレディンガーの猫」という思考実験の解説などを読むとわかりやすいでしょう。
Another / 綾辻行人
その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける…。
「BOOK」データベースより
3年3組には死者が紛れ込む年があり、死者が紛れ込んだ年はクラスメイトや教師、その親戚が理不尽な死に襲われていきます。
紛れ込んだ死者は本人にも自覚がなく、誰かの悪意があるわけではありません。
死者は誰なのか、お互いに疑心暗鬼になっていくわけですが…
作者が綾辻行人なだけあって、ミステリ要素も盛り込まれています。
死者は誰なのか考察しながら読むといいでしょう。
魔性の子 / 小野不由美
教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめた者は“報復”ともいえる不慮の事故に遭うので、“高里は崇る”と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。幼少の頃に高里が体験した“神隠し”が原因らしいのだが…。彼の周りに現れる白い手は?彼の本当の居場所は何拠なのだろうか?
「BOOK」データベースより
十二国記シリーズのスピンオフにあたる作品。
高里に危害を与えると祟り殺される。本人の意志とは関係なく。
終盤になると関係ない人まで巻き込んでどんどん死んでいきます。
十二国記シリーズを読んでいなくても楽しめる作品です。
十二国記シリーズの1作目「月の影 影の海」も読みましたが、正直好みじゃなかったです。
ホラー小説が好きな人はとりあえず魔性の子を読んで、十二国記シリーズを読むかはその後で決めればいいでしょう。
AΩ超空想科学怪奇譚 / 小林泰三
旅客機の墜落事故。乗客全員が死亡と思われた壮絶な事故現場から、諸星隼人は腕一本の状態から蘇った。一方、真空と磁場と電離体からなる世界で「影」を追い求める生命体“ガ”は、城壁測量士を失い地球へと到来した。“ガ”は隼人と接近遭遇し、冒険を重ねる…。人類が破滅しようとしていた。新興宗教、「人間もどき」。血肉が世界を覆う―。
「BOOK」データベースより
グロチックなSFホラー。
ウルトラマンや様々な名作のパロディが盛り込まれている作品。
ウルトラマンと怪獣の戦いがリアルで起こったら足元は踏み潰された人々でぐちゃぐちゃですよね。
この作品はそんな世界観を持ち前の生々しいグロテスクな表現力を使って書き上げた作品。
屍人荘の殺人 / 今村昌弘
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?! 奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!
「BOOK」データベースより
ミステリー小説だけど、ホラー小説好きも楽しめるはず。
ホラーあるあるの○○○が出てくるし。
この小説に関してはネタバレなしで感想を書いたのでそちらを読んでください。
ゴールデンボーイ / スティーヴン・キング
トッドは明るい性格の頭の良い高校生だった。ある日、古い印刷物で見たことのあるナチ戦犯の顔を街で見つけた。昔話を聞くため老人に近づいたトッドの人生は、それから大きく狂い…。不気味な2人の交遊を描く「ゴールデンボーイ」。30年かかってついに脱獄に成功した男の話「刑務所のリタ・ヘイワース」の2編を収録する。キング中毒の方、及びその志願者たちに贈る、推薦の1冊。
「BOOK」データベースより
「ゴールデンボーイ」は優等生の少年が近所に住んでいる老人が元ナチスの幹部だと気がつき、過去の体験談を聞きだす話。
最初は老人は嫌々少年に過去の話を聞かせ、少年はそれを楽しむだけだったのだが、お互いに悪い方へ悪い方へと悪影響を受けていく。人間の恐ろしさが伝わってくる作品。
リング / 鈴木光司
同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった…。恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。
「BOOK」データベースより
「リング」という小説を知らなくても、「貞子」を知らない人はいないでしょう。
白い装束を身にまとい長い髪を垂らしながらTVから出てくる奴です。(小説ではTVからは出てこないが)
自分の余命が1週間になる呪いって恐ろしいですよね。
このシリーズは「リング」「らせん」「ループ」の3部作ですが、ホラー要素が強いのは「リング」のみ。
「ループ」は完全にSF小説になっています。
僕はSF小説も好きなので「ループ」まで楽しく読めましたが、ホラー小説の恐怖感をそのままにしておきたい人は「リング」で止めておくといいかもしれません。
殺人鬼 / 綾辻行人
夏期合宿のため双葉山を訪れた親睦団体「TCメンバーズ」の一行。人里離れた山中での楽しいサマーキャンプは、突如出現した殺人鬼によって、阿鼻叫喚の地獄と化した。次々と殺されてゆく仲間たち…手足が切断され、眼球が抉りだされ、生首は宙を舞う。血塗れの殺戮はいつまで続くのか。殺人鬼の正体は。驚愕の大トリックが仕掛けられた、史上初の新本格スプラッタ・ホラー。
「BOOK」データベースより
この小説はすごい、とにかくグロイ、脳裏に殺しの場面が浮かんでくる。
文字だけでここまでグロテスクな表現ができるのかと思わず感動するレベル。
綾辻行人らしい叙述トリックも仕掛けられているが、この小説の素晴らしさはやはりグロさじゃなかろうか。
それぐらいヤバイ。ある程度グロ耐性のある僕も若干吐き気を催しました。
グロテスクな表現が苦手な人は開いてはいけない本。
パラサイト・イヴ / 瀬名秀明
…永島利明は大学の薬学部に勤務する気鋭の生化学者で、ミトコンドリアの研究で実績をあげていた。ある日、その妻の聖美が、不可解な交通事故をおこし脳死してしまう。聖美は腎バンクに登録していたため、腎不全患者の中から適合者が検索され、安斉麻理子という14歳の少女が選び出される。利明は聖美の突然の死を受け入れることができず、腎の摘出の時に聖美の肝細胞を採取し、培養することを思いつく。しかし、“Eve 1”と名づけられたその細胞は、しだいに特異な性質を露わにしていった…。第2回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
「BOOK」データベースより
意志を持ったミトコンドリアが人間にとって変わろうとするホラー小説。
普通に考えて有り得ない話なのだが、専門用語が多いせいで妙に文章に説得力が生まれてます。
高校生が読むと生物のテストで点数が少しだけ上がるかもしれません。
僕は少しだけ上がりました。
生物の点数を上げたいなら教科書を読んだ方が早いので、おまけ程度に考えること。
自分の好きな作家を見つけられるといいね!